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ノーベル賞

ノーベル賞

 

 

国際交流員 森下アンダーソン実砂雄

 

 

 ニュートリノを研究している東京大学教授・梶田隆章博士は、昨年のノーベル物理学賞を受賞しました。世界最大の地下ニュートリノ観測装置「スーパーカミオカンデ」が岐阜県にあるため、岐阜県民にとってはとても嬉しいニュースでした。ニュートリノを通して、宇宙の歴史を探ることができると思いますが、かつて神岡鉱山から排出されたカドミウムによる環境問題、社会問題を忘れてはいけません。ここからはるかに遠くある星を見て宇宙の始まりを知ることも大事なのですが、目と鼻の先にある神岡鉱山から始まった公害のことも私たちの記憶に留めておかなければなりません。

 

 ノーベル賞を受賞している日本人の方が多くなっていますが、村上春樹がここ10年連続で惜しくも受賞を逃しています。ハルキスト待望は、恐らく新作の出版とノーベル賞受賞なのではないかと思います。村上春樹の他にも、野口英世が生前、1914年、1915年、1920年、計3回、同じく受賞を逃しています。

 

 みなさんもよくご存じの通り、野口英世は偉大な医学者でしたが、1923年にアメリカのロックフェラー財団によってブラジルに派遣され、ブラジルで黄熱病の研究や講演を行いました。サンパウロ州カンピーナス市の公園やバイーア州のバイーア連邦大学には今でも銅像や記念プレートが残されています。黄熱ウイルスとデング熱ウイルスを媒介する蚊が、昨年12月からブラジルで「ジカウイルス」を大流行させました。今現在、もし野口英世が存命でしたら、ジカウイルスによる伝染病を研究していたかもしれませんね。

 

 現時点では、ブラジル人が数名ノーベル賞候補になったものの、一人も受賞していません。ブラジル生まれのピーター・ブライアン・メダワーが1960年のノーベル生理学・医学賞を受賞していますが、国籍がイギリスであったため、イギリス人としてカウントされています。ブラジルはノーベル賞と全く縁がないと思いきや、スウェーデン王室とは意外な接点があります。

 

 ノーベル平和賞以外の場合、ストックホルムで授賞式が終わってから、王室の晩餐会が行われます。主役はもちろんその年の受賞者ですが、スウェーデンの国王夫妻やゲストも登場します。実は、スウェーデン王妃・シルビアは、ブラジル人とドイツ人のハーフであり、幼少時代をサンパウロで過ごしました。王妃によりますと「私はスウェーデン人だが、考え方はドイツ的、心はブラジル的だと言われている」と報じられています。

 

 さて、昨年のノーベル賞は授賞したばかりですが、上記のことを思い出しながら、今年もまた期待しましょう。


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