トップページ > 国際交流員ブログ
国際交流員ブログ
路面電車

路面電車

 

国際交流員 森下アンダーソン実砂雄

 

 

CIRBlogBrazilRomen1.jpg 東海道線や北陸本線の線路沿いでカメラを構えて列車の通過を待つ鉄道ファンをしばしば目撃しています。プロのカメラマンか鉄道オタクのことでしょうか?私は鉄道について詳しくないのですが、先日岐阜市内での交通手段を調べていたところ、少し興味がわきました。 

⇦【生きた博物館】サントス市の路面電車

 

 

 

 まずは、ブラジルの鉄道。1854年にリオデジャネイロで開業しました。日本の鉄道は1872年に正式に開業したため、比較的早いです。サンパウロでは1901年にネオクラシック様式に改築されたルス駅が1914年に完成した東京駅 と同様、華麗な建築で現在でも多くの人に利用されています。

 

 

 ブラジルの鉄道の発展と衰退はコーヒー栽培と直接関係があると考えられます。サンパウロ州の奥地で栽培されていたコーヒーがサントス港まで汽車により運送されていました。貨物輸送が主でしたが、とりわけ20世紀前半にサントス港から入国した日本人移民にとっては、港からコーヒー農場やサンパウロ市内の民宿までへの唯一の交通手段でした。当時の鉄道網に存在していたモジアナ線、パウリスタ線やソロカバナ線などが、ブラジルの経済と日系移民の歴史に重要な役割を果たしました。しかし、コーヒーの時代の終わりとともに、線路も大幅に撤去され、現在は3万キロにも満たないです。

 

 

 では、路面電車。かつてサントス市民に利用されていた路面電車が観光電車として復活しています。観光地を楽しめることと車両の歴史的価値から「生きた博物館」と言われています。長崎市のシンボルである路面電車は、同市の贈呈でサントスの市街地に一台の路面電車「長崎号」が走ることとなっています。両市は姉妹都市で港町という接点があり、路面電車を通した交流を行っています。

 

 

 日本の大都市では、路面電車が高度成長期以降、順次全廃されましたが、電車、地下鉄やバスなどの交通網が発達してきました。一方、地方の中核都市へ行きますと未だに路面電車が軌道をすいすいと走っているのを見ることができます。それぞれの市民と街を訪れる観光客にとっては欠かせない存在だと実感しています。

 

 

 CIRBlogBrazilRomen2.jpgさて、私は10年程前に初めて岐阜市に来ました。路面電車は既に全廃していましたが、ちょうど同じ頃にモ510形513が金公園で静態保存に出されたようです。軌道廃止の理由は様々だと考えられますが、路面電車のある長崎、広島、札幌、高知や熊本に比べて、岐阜には市民のくらしや観光の面などで大きな後退になったのではないかと思います。全廃により、昔の道路の混雑がなくなったかもしれませんが、公共交通手段だけを利用する人には市内での移動が大変になったのではないかと思います。路面電車と路線バスのメリットとデメリットについて、私たちそれぞれの中で考えてみましょう。

 【モ510形513】金公園にて静態保存⇨

  

 岐阜の路面電車については「繊維産業とともに廃れゆく一方」という意見があります。これはまさにブラジルの鉄道とコーヒー栽培に似たような関係ですね。

コメントする(comment) (ここをクリックすると入力欄が表示されます)

必須
必須